広葉樹林      diaries

広葉樹林 もはや見慣れた、乾燥したステップの道をゆるゆると登る。 標高差700mの峠を越え、峠の向こう側へ。 何かが変わったことに気づく。 そう、木が生えているのだ。 それも、広葉樹が。 思えば、日本を出て以来、広葉樹林というものを見たことがないように思う。 乾燥地帯を走ることがほとんどだったので、森を見たこともほとんどない。 懐かしさに思わず道をそれ、森に入る。 その日の走行はおしまい。 広葉樹林から落ちてくる光は、針葉樹林のそれとは違って柔らかなものだ。 秋の気配の強い森の地面は、落ちたばかりの木の葉に覆われている。 ふかふかの落ち葉の上にテントを設営。 近所の山にでも来たような感覚だ。 翌日、峠を下ると、道の両側の顕な岩肌の間を縫って、木々が生えていた。 きれいに紅葉しているものはほとんどなかったが、 本当に日本のような、例えるなら大台ケ原周辺の渓谷のような景色は安心感を与えてくれた。 ここは、ケッペンの気候区分によると、日本と同じ温暖湿潤気候に分類される。 つまり、雨のほとんど降らないステップ気候ではなく、雨の降りうる所ということだ。 ぼくにとっては3ヶ月ぶりに、雨が降った。 走行距離　11100.10km              イラン・サーリーにて     2007/11/10